AI / 開発履歴
Entire CLIとは何か
作成日: 2026年6月15日
要点
- Entire CLI は、AI エージェントとの作業セッションを Git ワークフローにひも付けて保存するための CLI です。
- コード本体のコミット履歴は汚さず、会話ログやチェックポイントは `entire/checkpoints/v1` という別ブランチに保存します。
- 便利さの裏返しとして、公開リポジトリでは会話ログも公開されるので、導入時は保管場所と redaction の限界を理解して使う必要があります。
何をするツールか
Entire CLI は、Claude Code、Codex、Gemini、Cursor などの AI エージェントでコードを書いたときのやり取りを、あとから追跡できる形で Git に結び付けるツールです。README では「コードが何に変わったか」だけでなく、「なぜその変更になったか」を prompt、response、files touched、tool calls と一緒に残せることを前面に出しています。
どこが特徴か
変更理由を残せる
prompt と response を commit に結び付けて、なぜその実装になったかを後から追えます。
Git 履歴を汚しにくい
作業ブランチに Entire 自身の commit を作らず、メタデータは別ブランチへ分離します。
再開しやすい
entire session resume で、以前のセッション文脈を戻して続きを始められます。
どう動くか
README にある基本フローはかなり明快です。`entire enable` で git hook と agent hook を入れ、普段どおり AI エージェントで作業し、commit のタイミングで checkpoint と transcript を保存します。必要になれば `entire session resume <branch>` で最新の checkpoint 済み文脈を戻します。
主なコマンド
entire enable: リポジトリを有効化し、hook を入れるentire agent: agent integration を追加、削除、一覧表示するentire configure: telemetry、hook、checkpoint remote、summary provider などを設定するentire status: 現在のセッション状態を見るentire session resume <branch>: 以前の session metadata を戻すentire checkpoint explain: session、commit、checkpoint を説明させるentire blame/entire why: Labs 扱いの実験機能。行単位で「どの checkpoint が由来か」を追う
向いている場面
- AI が書いた変更について、あとで「この差分はどの指示から生まれたか」を説明したいとき
- 複数人、または複数 worktree で AI セッションを並行運用したいとき
- レビューや監査のために、prompt と commit の結び付きまで保管したいとき
- 壊れたセッションから、以前の checkpoint を起点に復旧したいとき
普通の Git は「何が変わったか」は強いですが、「AI に何を頼んでその変更になったか」は残りません。Entire はこの欠落を埋める方向の CLI です。
注意点
一番大事なのは保存先です。公式ドキュメントでは transcript、user prompt、checkpoint metadata が同じ Git リポジトリ内の `entire/checkpoints/v1` に保存されると明記されています。公開リポジトリなら、そのデータも公開されます。
- 秘密情報の redaction は常時有効ですが、best-effort であり、完全保証ではありません。
- shadow branch にはコードスナップショットが生の blob として載るため、ハードコード済み秘密情報は無加工で入る可能性があります。
- `.env` のような gitignored file は一部防御になりますが、「AI に渡した内容そのもの」は transcript 側へ残り得ます。
- 公開プロジェクトで使うなら、`--checkpoint-remote github:org/private-repo` のように checkpoint だけ別の private repository へ送る構成が現実的です。
- 安全に使うなら private repository を基本にし、push 前に checkpoint branch を人間が確認する運用が現実的です。
2026年6月15日時点の公開状況
- 最新 stable release は
v0.7.5で、GitHub Releases 上の公開日は 2026年6月4日です。 - 最新 nightly release は
v0.7.6-nightly.202606130727.ef7c706aで、公開日は 2026年6月13日です。 stableとnightlyの2チャネルを案内しており、Homebrew、install.sh、Windows の Scoop、Go install の導線があります。
まとめ
Entire CLI は、「AI 時代の Git 補助線」を入れるためのツールです。差分だけでは足りない現場で、prompt、response、checkpoint、resume を Git に接続したいならかなり筋がよいです。一方で、会話ログを Git に保存する性質は強いので、便利さより先に保管ポリシーを決めてから入れるべき CLI でもあります。